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執筆者の写真奥山 俊宏

東京地裁、保存ルールに違反 オリンパス内部通報訴訟の記録を廃棄

最高裁の「保存、しっかり改めた」との説明と矛盾


 著名な訴訟の記録のほとんどが裁判所によって廃棄されていた実情を改めようと2020年に「主要日刊紙2紙以上に終局に関する記事が掲載された」など記録永久保存の基準を明確化する運用要領が定められたのに、それより後の昨年(2022)2月に、精密機器メーカー、オリンパスによる内部通報者への制裁的人事をめぐって争われ、すべての主要紙で報道された訴訟の記録が東京地裁によって廃棄されていたことがわかった。明確化された基準に従えば自動的に永久保存に付されるはずの記録で、原告は「どうして?」と憤っている。基準明確化だけでは是正が不十分な現状を裏付けている格好だ。神戸家裁で昨年10月、連続児童殺傷事件の「少年A」の記録が廃棄されていたことが発覚し、これをきっかけに最高裁は有識者委員会を設け、記録保存のあり方の検討を進めており、その議論にも影響を与えそうだ。

記者会見する浜田正晴さん(左)と中村雅人弁護士=2月8日午後4時47分、東京・霞が関で


 重要な事件の記録の保存について、最高裁事務総局の小野寺真也・総務局長は昨年4月20日の衆院法務委員会で、「以前、著名な事件についての保存がされていないのではないかという御指摘をいただいたこともありまして、それ以降、令和2年(2020年)くらいから、各地できちんとそれを、運用を改めるというようなことが行われました」と答弁している。その上で、小野寺総務局長は、東京地裁が2020年に定めた運用要領の内容について「地域面を除く主要日刊紙のうち2紙以上に終局に関する記事が掲載された事件を保存に付するというような客観的な基準を設けた」などと説明し、「近年、運用をしっかり改めたというところでございますので、これをしっかりと運用を続けていきたいというふうに思っております」と答弁した。ところが、実際には、東京地裁は運用を一部しか改めず、客観的基準を独自の解釈で無視し、重要事件の記録の廃棄を継続していた。




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